たいへんお恥ずかしいことながら私自身が居合道を細々と続けていることもあり、ご存知のかたはお気軽にお声がけくださり、居合でお使いになる刀をお求め頂くことが多々ございます。ご購入頂いた刀で活躍されるのを拝見すると、たいへんうれしい気持ちになります。

初めて真剣を購入しようかというかたは、今まで愛用してこられた模擬刀の長さを目安に、「二尺四寸で良いのがあれば…」という具合にお探しになるのですが、まずご説明申し上げることがございます。それは同じ寸法の刀でも、真剣になると微妙に長さが異なってくるという点です。もちろん刀身の長さは寸法通りなのですが、ハバキの規格が一点一点異なるため、鐔から切っ先までの長さが変わってくるのです。そのため抜き差しすると、「あれ?今までとちょっとちがう?」という不思議なことになって参ります。
模擬刀のハバキは量産品のため、サイズに大きな違いはないかと思われます。刀身がいずれも似たような反りということもあり、模擬刀を同寸で買い替えられてもほとんど違和感はないでしょう。ところが真剣の場合は、刀身同様にハバキも職人が刀に合わせて一点づつ製作するものですので、それぞれに特徴があります。ご理解頂くためにご覧頂くのが、次のハバキの写真です。

矢印の部分を「吞み込み」と申しまして、深いものや浅いもの、いろいろとございます。例えば同じ二尺四寸の刀で、ハバキ全体の高さが同じとしても、この呑み込み部分が深いか浅いかで、切っ先から鐔までの長さは微妙に変わって参ります。次の三点のハバキの画像をご覧ください。



横から見ると同じようなハバキなのですが、次に棟のほうから見てみると個性があるのがよくわかります。



いちばんはじめの画像の刀は二尺三寸九分ですが、呑み込みの少ないハバキのため切っ先から鐔までの長さは、真ん中の二尺四寸二分の刀とほぼ同じとなっています。このように寸法を伸ばす(かせぐ)ためにハバキの呑み込みを少なくする、逆に持つ人にとって少し長い刀はハバキの呑み込みを深くして、全体の寸法を減らすということが自然と行われていたのです。
以上の点をご説明した上で、お稽古の場で実際に抜き差しして頂くのが最もわかりやすいかと存じます。私どもでも可能な限り道場へお持ちさせて頂き、ゆっくりと抜き付けや納刀をお試し頂いております。反りやバランスによっても変化いたしますので感覚的にご理解頂き、どうぞ最適の御刀をお探しください。
